NVICが運用するファンドが保有する企業は、持続的に企業価値を増大できる「構造的に強靭な企業®」であり、自社が稼ぎ出す営業利益の蓄積に伴い、結果として時間の経過とともに長期趨勢的な株価の上昇を見込むことができると考えております。
「おおぶねオーナーズマニュアル」より(NVICさんのnote)
後で詳述するような素晴らしい経済性を有した企業を見つけてしまえば、その株券を売買する必要などなく、単にオーナーとして保有すれば良いのだ、という考え方こそが、「売る必要のない会社しか買わない」と表現している哲学なのです。
先日からの一連の投稿は、私にしては珍しく「少しでも人様のお役に立てれば」と思って結構がんばってデータも集めて書いているのですが、そのメッセージが届いてほしい人たちは絶対に私のブログなど読まないし、仮に読んだとしても恐らく内容を理解しないであろうと思います。
力不足を痛感するところではありますが、この「高配当株投資批判」シリーズは、私にとっても改めて考えを整理し、漠然とイメージしていた自分の立ち位置をファクトから確認するいい機会にもなっているので、続けます。
今回は、私が資産形成の柱と据えている「おおぶね」の投資先について、その企業価値の推移を見ていきたいと思います。
「おおぶね」の何たるかは、こちらの記事をご参照ください。
(参考記事:農林中金<パートナーズ>長期厳選投資「おおぶね」の概要と評価)
おおぶねの中身
おおぶねが投資している米国企業26社(最新の運用報告書で確認できる2020年2月時点)です。

冒頭にもあるように、このファンドは「売る必要のない会社」の長期保有を投資哲学としています。
投資先の入れ替えは年に1~2社、多くて3社という感じで、26社のうちの20社くらいはファンド設定からずっと保有されています。
したがって、以下の検証は直近の26社でやっていますが、ポートフォリオの特性を掴むには十分な信頼性があると考えます。
おおぶねの価値の推移
いつものように、「一株あたり営業利益」を企業価値を示す代替変数と考え、26社の平均値の推移をS&P500と比較して見てみます。金額の多寡には全く意味が無いので、トレンドをご覧ください。
データ出典はMornigstarです。

おおぶね | S&P500 | |
10年倍率 | 2.4x | 2.6x |
10年平均伸び率 | 9.2% | 10.1% |
(8年平均伸び率) | 7.0% | 7.1% |
むむっ。S&P500の伸びに対して劣後していますね。
(勝っててもらわないとドヤれないのですが……)
と、ここで我らが「おおぶね」は下落相場に強いことを思い出します。
(参考記事:下落相場に強いぞ!おおぶね)
そこで、データの起点をリーマンショック前の2007年に変えてみました。

おおぶね | S&P500 | |
12年倍率 | 2.4x | 1.7x |
12年平均伸び率 | 7.6% | 4.6% |
2008年、2009年で顕著な傾向の違いが出ています。
2008年は、おおぶねが前年比プラスを維持したのに対して、S&P500は半分以下に落ち込んでいます。
2009年は、おおぶねが期間中唯一の前年比マイナスに落ちたのに対して、S&P500は大幅な回復に転じています。
恐らくリーマンショックの影響が大きく、早かった、金融や不動産等のセクターがおおぶねには全く含まれていないことが、この顕著な差として出ているのではないかと思います。
こうして見ると、改めておおぶねポートフォリオ企業群の安定した価値向上が目を引きますね。
S&P500がリーマン前「価値」を明確に超えるのに2013年までの時間を要しているのに対し、おおぶねはそもそもの落ち込み幅が小さく、2010年時点で超えることができています。
少し見えづらいですが、S&P500が前年比マイナスになった2015年でも、おおぶねはプラスを維持できています。
まとめ
以前のセミナーで、NVICの奥野さんが「おおぶねは下落相場に強く、上昇相場でも”そこそこ付いていく”。結果的に長期ではアウトパフォームする」と説明されていましたが、今回の検証はその言を裏付けるものになったと思います。
次の下落相場がいつ、どんな形で訪れるかは誰にもわかりません。
それでも、私が「おおぶね」を通じて保有する企業群は、高い参入障壁に守られ、相対的にしっかりとした「価値」を作ってくれるのではないかと思います。
更に握力が強まる検証結果となりました。
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