コロナ・ショック相場が継続しています。先行きも不透明ですね。
私の投資資産も追加入金を除けば、昨年末対比で2割以上減ってしまっていて、しょんぼりしているのですが、長い時間をかけて資産形成をしていこうと思えば、このような局面に当たることはやはり避けられません。
そんなマイポートフォリオの中で光っていると感じるのが「おおぶね」です。
過去の記事(「おおぶね」の評価と概要)でもうっすらと指摘していましたが、やはりこのファンドの下落相場における下値の堅さは白眉だと思います。
そのパフォーマンス特性を少し検証してみました。
パフォーマンス(S&P500との比較)

累積リターン | 年率リターン | 標準偏差 | |
おおぶね | 20.1% | 7.1% | 14.8% |
Ifree S&P500 | 8.9% | 3.3% | 17.5% |
超過リターン | 11.2% | 3.9% |
ファンドの運営開始は2017年7月でもうすぐ3年がたちますが、なかなか優秀じゃないですか?S&P500に対して、きっちり勝っています。
※1:私が投資しているのは2019年はじめから
※2:S&P500連動投信の中で最も古いiFree S&P500インデックスと比較しています。こちらは運用開始が2017/8末なので基準価額はここで揃えています。分配金再投資ベースです。
※3:信託報酬率は、おおぶねが0.99%、iFreeが 0.2475%です。最安ファンドなら年率0.15%程リターンが良くなるはずですが、今回の結論に影響はありません。
アップ/ダウンサイドキャプチャー
さて、上のグラフで注目していただきたい箇所が2つ、2018年の終盤と、直近の2か月です。相場(S&P500)が下落する局面で、顕著にアウトパフォームしています。
そこで、相場の上昇局面と下落局面に分けて、ファンドのパフォーマンスを分析してみました。
2017年9月から先月までの31か月のうち、S&P500が上昇した月は23か月、下落した月は8か月ありました。月次リターンを上昇月/下落月に分けてそれぞれの平均をとってみると、下表のようになります。
【上昇月(N=23)】
おおぶね平均リターン | 3.07% |
S&P500平均リターン | 3.16% |
アップサイドキャプチャーレシオ | 0.97 |
勝率 | 39.1%(9勝14敗) |
【下落月(N=8)】
おおぶね平均リターン | -6.16% |
S&P500平均リターン | -7.51% |
ダウンサイドキャプチャーレシオ | 0.82 |
勝率 | 75.0%(6勝2敗) |
つまり、相場が上昇するときには、ほぼ相場並みに上昇し(体感的にはもう少し負けているイメージでした)、相場が下落しているときには8割程度の下落で踏みとどまっている、ということです。
※1:外国株に投資をする国内投信は、株価の終値が月末-1営業日で月末の基準価額が決まるため、一般的なS&P500が上がった/下がったとはカウントがずれるかもしれません。
※2:アップサイド/ダウンサイドキャプチャーについて:参考リンク(アライアンス・バーンスタイン)
評価①「結局マイナスじゃね?」
「いやいや結局マイナスじゃ意味ないじゃん」
という声もあるかもしれません。
もちろん超優秀なヘッジファンドのように、あらゆる局面でプラスのリターンを上げることができるファンドがあればいいですが、イチ個人がそのようなファンドを見つけて投資をすることは現実的ではありません。
Twitterやブログを拝見していると、今回の下落相場を予見して事前に現金化したり、ショートを活用したり、機動的な売買できっちりリバを取ったりして、しっかりリターンを上げてらっしゃる方もいらっしゃって、感心するばかりです。
ただ、私のような平凡な能力しか持たない個人が資産形成をしようと思えば、資産の一定割合を株式に振って、上昇相場も下落相場も経験しながら、長い時間をかけてコツコツ積み立てるような形で作っていくのが、最も現実的な道だと思います。
そのような道を考えた時に、下落方向のボラが小さいという特性は、運用期間が長くなればなるほど、有利に働きます。これは、ボラが嫌だから一部キャッシュで持とうとか、バランスファンドにしようというのとは全く違う話で、複利効果を享受するうえ非常に有利な特徴だと思います。
評価②「でもそれ過去の話でしょ?」
「この特徴に再現性はあるのか?」
とっても良い質問ですね。当然ながら、先のことは誰にもわかりません。
ただ、このファンドは局面に応じて運用内容を変えるタイプのファンドではなく、基本的に同じ25社程度の株式をずっと持ち続けるファンドです。(年に2,3社程度の入れ替えや、ポートフォリオ内での比率の調整はあるようです)
その25社は、しっかりした運用哲学に基づいて選定されていて、長期で見ればきっちりキャッシュフローを生み続けることができる企業ばかりだと理解しています。
直近の運用レポートでは一例としてウォルト・ディズニーが紹介されています。
確かに今回のコロナでディズニーランドや映画の売上は落ちるでしょうし、NBAとかが中止になっている中でESPN(ディズニーが運営するスポーツ専門TV)はどうなっているんだろう?と思いますが、これらの価値が失われたとは思いません。
いずれコロナが収束すれば、人はまたディズニーランドに行き、スポーツを見るのだと思います。
つまり、今回のような「〇〇ショック」が起こったときに、倒産するような心配がなく、短期的には業績が落ちたとしても長期的にはまた戻ることが期待できるような企業ばかりに投資しているのだとすると、上で見た下値の堅さも自然なことだとも思えます。
まとめ
さて、「おおぶね」のパフォーマンスの特性について見てみました。
特に最後のところは私の思い込みにすぎませんので、信じるか信じないかはあなた次第です。
ただ、「ひふみ」が今回の危機前にキャッシュポジションを増やしていたこともそうですが、こういった特徴があるのがアクティブファンドの面白いところで、結果の是非はともかくアクティブファンドに投資をする醍醐味だと思います。(特徴のない「なんちゃってアクティブ」が多いことはもちろん否定しません)
「ひふみ」は震災前にもキャッシュを増やしていたそうで、藤野さんさすがだなと思いますが、私としては、ファンドマネージャー個人の手腕よりも、「構造的に強靭な企業®」が持っている強い事業の方に、リターンの再現性を信じたいと思います。
「おおぶねグローバル」「おおぶねJAPAN」の取り扱い開始に合わせてSBIの「おおぶね」の特設ページ(リンク先:SBI証券)ができたようです。
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