私は日本株の個別株と、米国株に投資をするものを中心としたアクティブファンドに投資しています。
(S&P500も保有していますが、追加投資はしていません)
個別株は細々したものも含めて約20社、ファンドといっても投資先を厳選したものなので都合40社程度、全体で60社程に投資をしていることになります。
「世界経済の成長に乗る」のが株式投資だと言われることが多いのですが、私としては個別企業の力を信じ、その企業価値の向上の恩恵を受けたいというのが、基本的なスタンスです。(一部、これに反する「投機」もやっています)
世界を良くするのは誰か?
この7月からレジ袋が有料化されましたね。
個人としての不便さもさることながら、ごみ捨て用のポリ袋消費が増えていて結局プラスチックの削減に効果がないという声があります。そもそも日本はポリ袋を海に捨てたりせずに高効率な焼却炉で燃やしている(=燃料として再利用している)ので、欧州のような形でのプラスチック削減は的外れだという指摘もあります。
恐らくファクトベースで考えると、これらの指摘に一理あるのではと思うのですが、とかくメディアが作る世論も、”世論に応える”政策も、印象に基づく悪者探しと局所的な対処に陥りがちです。
このままいくと、次はコンビニやスーパーなどのプラスチック食品容器がダメという話になるのではないかと思います。既に大手コンビニではプラ容器から紙に切り替える動きが出ているようです。
(参考リンク:セブンイレブン、弁当容器本体を紙製に)
さて、プラ容器で国内トップシェアを持つのはエフピコという会社です。
もう10年ほど前になると思いますが、たまたま見ていたカンブリア宮殿にエフピコの創業者である小松氏(故人)が出ておられて、非常に印象に残っており、一度投資を検討して調べたことがあります。
鎌倉投信さんが長く投資をしていることで、ご存じの方も多いかもしれません。
さて、このエフピコの特徴は、食品容器のリサイクルを(恐らく)世界で唯一自前でやっている会社です。
よくスーパーの店頭で食品トレーの回収をやっていますよね?あれを回収して再び食品トレーに再生しているのがこの会社です。
再生トレーは「エコトレー」という名称で再びスーパー店頭に並びます。エフピコのお客さんであるスーパーからすると、「エコトレー」を使っていることで環境にやさしい企業というアピールができるのみならず、それだけCO2を削減しているということで負担金が少なくなるなどの便益があるようです。
エフピコ側から見ると、このリサイクルがコスト競争力を生んでいます。
トレーはプラスチックのシートを型でくりぬいて作るため、どうしても切れ端が出ます。通常はこの切れ端は廃棄物業者に引き取ってもらうしかないのですが、エフピコはその切れ端もリサイクルを通じてもう一度原料として投入できるので、トータルの歩留まりがよくなります。
つまりエフピコは、リサイクルという環境に優しい行為を、需要、供給の両面で自社の競争優位につなげている、ということです。
エフピコは1990年頃からリサイクルの取り組みを始めていますが、ここまでの道は決して平たんだったわけではありません。
誰もやったことがないトレーからトレーへの再生という取り組みに試行錯誤を重ねながら、再生プラントに述べ数百億円規模の投資を行っているようです。一連の回収サイクルの構築も当初は店頭回収に協力してくれるスーパーが少なく、小松氏自らが頭を下げて回って地元のわずか数店舗からスタートしたそうです。
小松氏は「気候変動を食い止める」という理念を掲げてリサイクルを始めたわけではありません。
アメリカでマクドナルドがプラ容器をやめて紙に切り替えるというニュースを聞き、「この流れは早晩日本にも来る。普通のプラトレーを作っていたのでは生きていけない」という強烈な危機感に突き動かされる形で、彼の経営者としての才覚でもって果断な投資に踏み切った結果、いまの形になったのです。
エフピコが持つプラトレーのリサイクル技術、構築された一連のサイクルは、世界で無二のものです。
果たして、欧州式の「プラスチック削減」をそのまま取り込むことが、日本に住む我々にとっての正義なのでしょうか。紙容器にすると、防水のために紙の表面を化学品加工する必要がある、食品ロスが増えるなどのデメリットもあるようです。それは本当にエコなのでしょうか。
グレタさんが問題提起するのは結構なことですが、彼女が世界を変えるわけではありません。
企業、経営者、個人が、現状に問題意識を持ち、自分の力の及ぶ領域で必死に努力を重ねたその集積が、結果的に少しずつ世界を良くしていくのではないか、と私は考えます。
一括りに語ることは避けたい
少しだけ投資信託の話です。
先日の記事でも触れた三菱UFJ国際投信さんが、成果報酬型の投信を出すそうです。(中身はまだ見ていないので、このファンドの是非は論じられません)
それを受けて山崎元さんが「安易に飛びついてはいけない」という趣旨の記事を書かれていました。
「運用の中身が重要だ」という点はごもっともなのですが、全体の文脈として「アクティブファンドは信頼に値しない」「個人投資家は投信の中身なんて見ない」という認識が流れているように思います。
アクティブファンドにも信頼に足るものはあると思いますし、個人投資家もそこまでバカではないと思います。(山崎さんはもちろんそんなことは分かったうえで、よりライトな層に向けた警鐘として書かれているのだとは思います)
アクティブ、パッシブに限らず、日本の運用業界を変えようという意思をもって、良いものを作り受益者の信頼を得ようとしている運用会社、ファンドがあるはずです。私としては、「アクティブ/パッシブ」とか、「成果報酬型」と、一括りに論じるのではなく、是々非々を判断したうえで、彼らの個別の力を信じて意思を持った資金を投じていきたいと思います。
ただ、「なんちゃってアクティブ」だけは一括りに揶揄してもいいかなとは思っています。
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