トムソンガゼルに会いに行く~ビル・パーキンス著「DIE WITH ZERO」を読む~

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投資と聞くと、株式や債券、不動産といった言葉を思い浮かべる人は多いはずだ。これらの投資に共通するのは、将来の収入を生み出すためのメカニズムだということだ。

(中略)

経験も同じだ。時間や金をかけて何かを経験するのは、その瞬間を楽しむためだけではない。経験は私たちに、尽きることのない「配当」を与えてくれる。

(中略)

経験からは、その瞬間の喜びだけではなく、後で思い出せる記憶が得られる。

ビル・パーキンス著 「DIE WITH ZERO」より

一応の書評

少し前になりますが「DIE WITH ZERO」を読みました。

「アリとキリギリス」の寓話で、享楽を求めたキリギリスは飢え死にしたが、勤労の奴隷となったアリは果たして幸せであったか?という疑問から本書は始まります。

人生で最も重要なものは「経験」であり、経験を得るために必要な支出を、適切なタイミングでしていくべき、というのが著者の主張です。著者自身は米国人でかなり成功したファンドマネージャーということなので、若いうちから投資により一定の資産を築くことは当然の前提とされていますが、人生のどこかのタイミングで意図的に「資産ピーク」を設け、タイトルにもなっている「ゼロで死ぬ」ことを目指すべきと説いています。

昨今のFIREブームの中で、若いうちから倹約に励み投資原資をねん出し、”最適解”である世界株インデックスや高配当株に投資をし、一定の資産規模を築いたら後は自由に生きましょうという人たちがいます。

その方たちがそれを目指すこと自体はもちろん結構なのですが、必要最低限以上の消費を浪費と断罪し、マイカーやマイホームを持つこと、ともすれば家族を持つことすら”コスパ”で考えれられてしまう風潮に強い違和感を感じていた身としては、非常に刺さる本でした。(もちろん、ポジショントークです)

先行きの不透明なこの時代に3人も子供を持つ身としては、子供に一定の資産を残してやりたいという気持ちも当然にあるのですが、著者は「どうせ譲るなら、自分が死ぬ時ではなく、子供がお金の価値を最大化できる20~30代で譲れ」と説きます。これは刺さりました。

私は元々、自分の資産運用は一つの口座で管理し、しかるべき時期が来たら(老後に入る前くらいのイメージでした)、その中から一定額を子供たちに配分しようと考えていましたが、この本を読んだ後、即座にジュニアNISAの開設を申請しました。4年分・320万円しか使えなくなってしまったこと、初年度の入金がこの10月以降になってしまったことは忸怩たる思いではありますが、10数年の運用に耐えられる投資先を真剣に選んだつもりです。子供たちが成人したタイミングで渡し、その後どうするかは彼らに委ねたいと思います。運用益が期待に届かなければ少し色を付けるかもしれませんが、それで私からの金銭的ギフトは基本的に終わりにしようと思います。

本書を読んで、これまで漠然と考えていた子供たちに対する私の責任についての考えを整理することができました。それは、彼らに大きな金額を遺すことではなく、彼らが大人になった時に「自分の頭で考えて、何とかする」素地を作ることです。恐らく”そのように導く”などという大層なことは無理で、何がしかのきっかけを2,3体験させるに過ぎないのではないでしょうか。ただ、それは彼らの未来に大きな果実をもたらす「投資」になるはずです。

私が真に投資すべきは、彼らの「経験」なのだと思います。そのために私はいま、eBASEやおおぶねに投資をするのです。

トムソンガゼルの話

さて、以前も少し書いたのですが、うちの2号はステイホーム期間中に小学館の動物図鑑にはまって以来動物が大好きで、朝起きるや否や寝る直前まで、いまや我が家に4冊ある動物の図鑑を眺めています。

中でもお気に入りが「トムソンガゼル」です。

トムソンガゼル
(写真Wikipediaより)

トムソンガゼルは時速80kmで走ることができます。世界最速といわれるチーターは時速110kmなのでこれよりは遅いのですが、チーターはスタミナがなく数十秒しか全力疾走できないので、それなりの確率で逃げることができるようです。
ケニアやタンザニアのサバンナに数十頭の群れで生息しています。
見た目はシカっぽい感じですが、ウシの仲間です。(なので今年一発目のネタとしても時宜を得ています)

全て4歳のうちの2号が教えてくれました。(裏をとっていないので、正確でないかもしれません)
そんなに好きならばと、何とか本物のトムソンガゼルを見せてやりたいと思って調べてみたのですが、日本の動物園にはいないようです。

私にほんの少しの甲斐性があれば、「よし、じゃあ次の春休みにでもケニア行くか」と言って、彼にトムソンガゼルを見せてやれるはずなのです。その体験は彼の人生を変えるかもしれません。

コロナの状況を差し引いても、残念ながらいまの私にその甲斐性はありません。金銭的にも、人間力のキャパ的にも。
一方で、親の意思を感じる力や記憶の定着率を考えると、「子供の体験への投資」は早ければ早い程いいというものでもなく、より適切なタイミングというものがあるような気がします。(もちろん、言い訳です)

いまから例えば10年後に、彼が何を追いかけているかはわかりません。どれだけ父親を求めてくれるかもわかりません。
でも、その時に彼が大好きなものが何であれ、それをビビットに体験させてやれるくらいの甲斐性は持ちたいと切に願いながら、おせちの残りのミッキー型の板わさで一杯キメる、正月の夜更けなのでした。

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